先日太極拳クラスの忘年会がありました。
どういう話の流れか、
自分は文字で何かを伝えることに凄く苦手意識が強いという話をしました。
このホームページにもいくつもブログを書いているので、
ちょっと信じられないというリアクションをする方もいましたが、
昔のトラウマからか、本当に文字を書くことに対して強い抵抗感を感じます。
そんな苦手意識を植えつけた昔々のエピソード。
忘れもしない小学3年生の図書の時間。
小学3年生になり、図書の時間というのが増えた。
小学2年生までも図書の時間というのがあったのかもしれないが、全く記憶にないので、多分なかったのだろう。
図書の時間というのは、みんなで図書室へ行き、各々好きな本を選んで、ひたすら本を読む時間だった。
あの頃の授業の一コマは多分45分か50分だったと思う。
自分はあの図書の時間というのが大っ嫌いだった。
まず本を探す時に、一冊一冊手に取り、挿絵が一番多い本を選ぶのが大変だった。
字ばっかりの本は読めないので、とにかく絵が多い本を探した。
そして、選んだ本を持って椅子に座り、本を開く。
2、3ページ読むのだが、内容が全く頭に入ってこない。
それでも我慢して、絵が出てくるページまで読み進める。
読み進めると言ってもページの右下を見て、それから左下を見て次のページへ進む。
察しの良い人ならお気付きかもしれない。
そう、ページ数だけを見ていたのだ。
そして、絵が出てくる。
しかし、次のページからまたしばらく絵はない。。
選択した本が間違ったのだと思い、本を閉じ、元あった所に戻し、また挿絵の多い本探しが始まる。
そんな事の連続だから、図書の時間はどの時間よりも苦痛だった。
おとなしい子供ばかりが集まった学校だったのか、図書の時間はとても静かだった。
今思うと、それは皆んな本を読んでいたから静かだったんだと分かるが、
当時はじっとしていられない自分と反対に、静かに本を読んでいる友達が不思議でならなかった。
というか、皆んなが本に向かって何をしているのか分からなかった。
遊ぶ相手も、話す相手もおらず、ただ座っていなければいけない図書の時間というのは苦痛だった。
でも、最悪の事態は学期が終わる頃にやってくる。
それは、全く心の準備もなく突然降りかかってきた。
そう、それは「読書感想文」である。
図書の時間のまとめが、読書感想文であるのは至極当たり前の事である。
どの本でもよいので、好きな本を選び、その本の感想を書く。
また当たり前のことを書いてしまった。
しかし、自分にとってそれがどれほど大変だったか。
その時、例のごとく本選びが大変だった。
挿絵の多い本を探すのだが、やはりどの本も字の方が圧倒的に多い。
そこで、かなり迷ったあげく、自分は同級生の中ではかなり性格の異なった本を選んだ。
そう、
絵本である。
皆んなが字がいっぱい書いてある本を選ぶ中、自分だけ絵本を選んだのだ。
今思うとなかなか恥ずかしいが、当時は恥ずかしいどころか、これならいけると思ったのだろう。
知っている方も多くいらっしゃると思うが、「スーホの白い馬」という絵本を選んだ。
そこまではかなり順調(?)な展開だったと思う。
しかし、問題はそれからだった。
絵本なのだが、内容がよく分からない。。。。。
そして、数日後の図書の時間。
今度は教室で原稿用紙の前に座る。
3枚だ。
原稿用紙3枚である。
3枚目に入ればOKという課題なのだ。
途方に暮れた。
一文字目に何を書いてよいのか全く分からないのである。
皆んなが鉛筆をカキカキ動かしている間、
自分はひたすらぼーっとしていた。
そして作文の時間が終わった。
一文字も書くことなく図書の時間は終了した。
全くの白紙である。
見事なまで真っ白である。
当然、先生は受け取ってくれなかった。
じゃあどうなったのかというと、放課後に居残りだ。
多分あの時初めて居残りというのをしたんだと思う。
誰もいない教室に先生と二人っきり。
先生が言ったのを覚えている。
「なんでもいいから一文字書きなさい!」
書けるもんなら書いている。
そもそも本の内容が分からないのに、その感想なんてないのである。
驚くべきことに、その後どうなったのか、今全く覚えていない。
思い出すことができない。
原稿用紙3枚目まで書けたのか、それとも全く書けずに帰してもらえたのか。
覚えていないなんて嘘っぽいが、本当に思い出せないのである。
とにかく、それからというもの作文というのが、最も嫌いな、最も苦手な事柄になった。
当然それからの人生、あらゆる授業での作文、そして大学の卒業論文まで苦労しまくった。
人生で、文字で何かを伝えるというのは絶対やらないとずっと思っていた。
でもだ、
今、こうやって、作文は「書けない、書けない」と、書いている。
今、この時点でなんと2000文字も書いている。原稿用紙なら6枚目突入だ。
ブログなんて一生やらないだろうと思っていたが、迷いながらこうやって書いている。
ブログなんて絶対無理だと思っていたし、今でも苦手意識は強い。
でもこんな自分でもこうやって文字で何かを伝えているので、全くもって不思議なものである。