太極拳の技術に是々非々は存在しないと思ってます。
それは白でもなければ黒でもなく、
白と黒の両方であり、
白の中に黒があり、黒の中に白があるという、
太極論に基づいているから。
というのが一つの頭でっかちな説明としてそうなんですが。
もっと現実的な話として、
実際にその方法で相手に触れてみて、
それが相手にどう作用するのかという検証をしてみると、
「あれも使えるな」
「これも使えるな」
となる訳です。
ある目的を達成するために、最もらしい答えがあるように見えますが、
答えが一つの場合というのは経験上存在しません。
むしろ答え(絶対に正しいというモノ)はありません。
それは料理とよく似ていて、絶対正しい調理法というのは恐らくありません。
一枚の鳥もも肉を、蒸してもよし、焼いてもよし、煮てもよしです。
では、答えのない太極拳の世界でどこを目指すのでしょう?
これもまた料理と全く同じです。
自分が「美味しい!!」と思えるものを日々工夫しながら、創造し続けるだけです。
ただどうでしょう?
自分では美味しくできたと思ったのに、
他の人に食べてもらったら、
「まずいなこれっ」
ってなってしまったら。。
それが一人や二人じゃなくて、
十人も二十人もだったら、、
恐らくほとんどの人が、その味を変えると思います。
人に認めてもらわなくもいいんだっ!これでいいんだっ!というのも素晴らしいと思います。
しかし多くの人は味を変える方向にいくと思います。
個性の発揮は大事ですが、
他の人が食べてまずいものを作り続けるのは料理人としてはかなり勇気がいります。
だから、多くの場合、
自分が「美味しい!」と思うのと同時に、
他人が「美味しい!」と思ってもらえる味を目指すと思います。
これもまた太極拳の道と同じだと思ってます。
そこで大事なのが、
”料理を食べてくれる仲間”です。
「最近こんなの作ったんだけど、味どう?」
「う〜ん、甘みが少し目立つから、スパイスを少し加えるといいんじゃない?」
というように、正直に感想を述べてくれる仲間が必要不可欠です。
料理に無知な仲間から、舌の肥えた仲間まで色んな人の意見が必要です。
そういった様々な意見を取り入れていくことによって、
自分も他人も納得できる味になっていきます。
自分の好きな味の個性を残しつつも、
他の人も美味しいと言ってくれる味にしていきます。
そこに絶対の答えはありません。
味の出し方は十人十色です。
太極拳も以上と同様。
有る程度運動の原則に基づき練習を行い、
少し練れたと思ったら、人に触れて感じてもらう。
そこでどんな作用が起きるのかを観察し、
その人がどう感じるのかを共有してもらって、
改善点を洗い出す。
これを繰り返しながら、自分も他人も納得できるレベルになっていきます。
太極拳は人間同士のコミュニケーションなので、
仲間なしの上達はあり得ません。
太極拳教室というのは、お料理教室と同じです。
食べさせあいっこです。
料理を作ったら、食べてもらう。
食べてくれる仲間、意見を言ってくれる仲間がいるからこその上達です。
自分の練習も、
先生のご指導と仲間のおかげだなといつも感謝してます。
- 先生
- 仲間
- 自己研鑽
この三つはどれが欠けても上手くいきません。
上達に悩んだら、仲間のアドバイスを聞くのもとっても効果的ですよ🎵
太極拳の上達を願う方のヒントになれば幸いです。