太極拳は一人一流派 - 良き併走者になりたい

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最近自分の身体の特徴で面白い事が分かった。

私の肋骨は前後にかなり薄い。

横から見ると、とても平ぺったい。

それは以前から分かっていたのだが、

それがどれ位かと言うと、

「女性」「体重40キロ以下」の人と同等

ということが最近分かった。

ちなみに私は身長173cmで体重が65kgある。

それと、40kg以下の女性とほぼ一緒なのだ。

かなり極端な体型(肋骨の形)をしていることが分かった。

脱ぐとどんな感じなのかというと、

アジの開きを想像して頂けると分かりやすいと思う。

あんな感じだ。

そして、そのアジの開き体型のせいで、

昔から様々な工夫を強いられてきた。

このアジの開き体型の一番大きな特徴は、

上半身が異常に柔らかいこと。

柔らかいと聞くと、良い事だと思いがちだが、

デメリットとして働くことがとても多い。

柔らかいということは、

裏を返せば嫌でも動いてしまうということ。

固めるのが大変ということ。

姿勢を止めておくのが大変なのだ。

何かに寄りかかっていないと体が落ち着かないため、

座っている姿勢が特にだらしない。

走ると上半身が異様に疲れる。

それはもちろん必要以上に上半身が捻れてしまい上半身の筋肉が疲弊してしまうから。

表演競技をやっている時はそれこそ大変で、

空中姿勢を維持するために人一倍腹筋やら背筋やらの筋トレをした。

唯一メリットだと感じるのは、

身体を捻ったり、捻りを解放したりみたいな動作はとてもやりやすい。

バットやゴルフのスウィングなどの動作がそれにあたる。

しかしその捻れも”多すぎる”ため身体の戻りが遅く、スウィングのスピードは出にくい。

そして、この極端な体型は、

極端な身体感覚を生み出していることも分かった。

「こんな感じで動いたら、こうなるじゃん」

”こんな感じ”が全然人のそれと違うのである。

以前プロ野球選手がそれぞれのバッティング方法を語っている動画を見たことがあるが、

下の手で引っ張るように打つ人もいれば、上の手で押すように打つ人もいて、

選手同士で驚いていたのが印象的だった。

だから、時に自分が普段やらない方法が、

ある人にはとてもしっくりくる事がある。

レッスン中にこんな事があった。

ある生徒さんに対して、

「あ〜して、こ〜して・・」

と色々自分なりのやり方を勧めてみたものの上手くいかず、

それなら試しにと、普段自分ではやらない様なことを試してもらった。

そうしたら、突然上手くいくようになって、

本人もとても実感が掴みやすかったようで、満足していた。

結果同じような現象は起きるのだが、

方法は真逆だった。

正直その方法でどうしてできるのか意味不明だった。

みんなそれぞれ体型が違うし、

やり方が違うのは当たり前だと思っていたが、

自分のやり方が全く他の人に適応できないことが、

思ってた以上に多いことが分かった。

実は太極拳には多くの流派がある。

広く知られるところでは、

陳式太極拳、楊式太極拳、呉式太極拳、武式太極拳、孫式太極拳などがある。

陳さんが作ったから陳式太極拳。

楊さんが作ったから楊式太極拳である。

自分のやりやすいように編纂したものである。

太極拳に限らず、多くの武術、武道がどんどん分派していくのは、

とても自然なことだと思う。

皆それぞれ感覚もやり方も違う訳だから、

見た目は似た様なことをやっていてもその実は全く別物である。

だから極端な言い方をすれば、太極拳は

”一人一流派”

が正解だと思う。

これらから思ったことは、

山登りと同様、

同じ山を登る場合、頂上は同じ場所なのだが、

登山口はそれぞれ異なり、

またそれぞれの登山口から頂上までの景色も、

どれも異なるのである。

そういった意味では、

自分が通った道以外の道は、どのように頂上に至るのか分からない。

それを前提に考えると、

自分が指導者としてできることは、

頂上に導く(リードする)者ではなく、

一緒に冒険を進めていく併走者としてサポートすることだと思う。

他の人の感覚も、上手くいく方法も、難しく感じる事も、

はっきりとは分からない訳だから、

自分にできることは、

一生懸命観察して、

感じて、

上達を信じて、

参考になりそうなことがあればご提案させてもらうことだけだと思う。

そうやって、生徒さんにとって良き「併走者」になれたら嬉しい。

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