太極拳というのは陰陽論という思想に基づいています。

太極図という白と黒の勾玉のようなものが一緒になっている絵が有名なので、

一度は見たことがあると思います。

 

 

その陰陽論は自然原則を表しているのですが、

その自然原則の要素の一つに「消長(しょうちょう)」というものがあります。

 

消長とは、”万物は常に流動的で一定の状態を持たない”ことを指します。

 

例えば、一番身近なもので言うと、自分の身体。

皆様の身体は(もちろん私の身体も)、一瞬たりとも同じ状態が存在しません。

 

昨日の私と今日の私はかなり似ていますが、実は違います。

 

ひげや髪の毛や爪は、長さが変わるので、変化が感じやすいと思います。

 

ひげの濃い人だと、朝ひげを剃っても、夜にはけっこう生えてくるので、

見た目もけっこう違います(笑)

 

髪の毛は1日で0.3mm~0.4mmほど伸びているそうです。

1秒で伸びる長さを計算すると当然もっともっと小さいですが、

僅かながらでも長さに変化があることは間違いないでしょう。

 

今この瞬間変わってるなぁ~とは実感しにくいですが、

同じ状態は存在していません。

 

また例えば、これも実感しにくいですが、

私たちの住んでいる地球は、毎秒約30キロほど移動しています。

時速にすると、約108,000キロメートル。

プロ野球の大谷翔平選手の最高速が時速165キロなので、

地球が移動しているスピードは、大谷選手のボールの約655倍です!

新幹線ののぞみが最高時速300キロなので、

地球が移動しているスピードは、新幹線の約360倍です!

 

地球がそんなとんでもないスピードで動いているということは、

私も実感がありませんが、同じ場所にいる瞬間がないということは事実です。

 

実感しにくい例ばかりで申し訳ありませんが、、

同じ状態がないということだけご理解頂ければ大丈夫です。

 

これは一つの考え方であって、もしかしたら世の中には不変のものも存在するかもしれません。

ただ、陰陽論には”常に同じ状態”というものは存在しません。

 

 

そして、ここからが本題で、

冒頭で、

「太極拳というのは陰陽論という思想に基づいています。」

と書きました。

 

そしてその陰陽論では”一定の同じ状態”や”不変”という概念がありません。

よって、

 

太極拳には、正解がありません。

 

乱暴な言い方ですが、

陰陽論に”不変”がない以上、

太極拳に、絶対正しい答えというのはありません。

 

”万物は常に流動的で一定の状態を持たない”の万物とは

何から何まで全てのものを指します。

 

なので、

 

”正解は常に流動的で一定の状態を持たない”

 

とそのまま言い換えられます。

 

うちの教室に初めて来られる方からたまに、

「今まで~と習ったのですが、これは間違いですか?」

というご質問を受けることがあります。

 

最近あったご質問では、

「太極拳の基本姿勢は、

股関節は折り込んで(お尻を後ろに若干出す形)から背中を立てろと教わりました。

これは違いますか?」

といった内容。

 

当クラブでは、股関節は引くのではなく、先に出すことから始めます。

なので、このようなご質問を頂いたのですが、

股関節を折り込む(お尻を後ろに少し引く形)は、”上下の力に対して非常に強い”です。

スクワットの基本の一つは背中のアーチを崩さないことです。

 

参照元:http://www.z-muscle.net/method/squat/squat002.html

 

例えば150kg以上の高重量を担いだことがある人ならご存知だと思いますが、

背中のアーチを崩してしまうと腰に重さがもろにきて、確実にケガの原因になります。

 

ウェイトリフティングのオリンピック選手などを見てもらえれば、

よく分かると思いますが、見事な背中のアーチです。

 

ジャンプする直前も背中のアーチをしっかり作ります。

バレーボール選手やバスケットボール選手のジャンプする直前の姿勢も見事な背中のアーチです。

 

このように股関節を折り込む姿勢は、時に非常に大事です。

 

では、なぜうちの教室は股関節を出す方法からやるのかというと、

その姿勢の方が

 

”股関節が回しやすい”

 

からです。

 

股関節が回れば腰が回しやすくなります。

腰が回れば肩も回しやすくなります。

肩が回れば、手で円をかきやすくなります。

 

かなり大雑把で、いい加減な説明ですが、

太極拳の動作というのは円をかく動作が多いので、

股関節が回しやすい姿勢をとったほうがそれに適しているからです。

 

当然ながら運動としては両方必須です。

人間が出来る運動で不要なものは一つもありません。

 

ただある状況の時、目的を達成するために相対的に適当な手段というのがあります。

そしてその適当な手段も無数に存在します。

 

だからその質問した方がやってきた方法が間違っていて、

うちでやっている事が正しいなんて言う気は毛頭ありません。

 

人生と同じで、太極拳をやる目的だって人の数だけ存在します。

そして目的が違えば手段も違います。

健康のためにやるのと、表演競技のためにやるので、

目的の優劣はありません。

そしてその練習方法もかなり異なります。

 

普段の仕事と同じです。

あんな問題が起きた時はこう対処すれば良い、

こんな問題が起きた時はああ対処すれば良い、

と経験を積むことによって、どんな問題にも対処できるようになっていきます。

でも何もかもが全く同じ問題なんてものも存在しないので、

その状況に応じて、持っているカードを柔軟に組み合わせて対応する必要があります。

 

どんな方法も、ある状況の時、目的達成の一つの手段にすぎません。

そしてそこに絶対的な正解はありません。

 

その考え方に基づいている太極拳に、

 

”正解”はありません。

 

これが太極拳の大前提だと思っています。

 

太極拳が多くの人を幸せにする理由はここにあると思います。

 

太極拳は、人を選びません。

 

太極拳は、答えを押し付けられません。

 

太極拳は、自由に表現できるから、

自分自身の素晴らしさに気づく手段になります。

 

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