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拔胯とは
前回のブログで”圆裆开胯”について理解を深めたところで、
「太極拳の”歩法の秘密は足ではなく股関節”①」の内容に戻りたいと思います。
(原文)
「练过拔胯的人应该知道,胯练好了,是可以连续不断反弹的,且动作的速度非常灵动,以前有句话讲“教拳不教步,教步打师父”,步的奥妙,不在于脚,而在于胯,」
(直訳)
「拔胯を練習したことがある人なら多分知っている、胯がよく練習された人は連続的に途切れずに跳ね返る、しかも動作の速度は非常に素早い。昔からこんな言葉がある「武術を教える時、歩法は教えない。教えたら先生が負けてしまう」、歩法の秘密は足ではない、それは股関節だ。」
この最初に書いてある”拔胯”が今回のキーワードです。
まず”拔胯”とは何でしょうか?
”拔胯”とは中国語で
と読みます。
意味は、
拔 (bá バー)・・・抜く
胯 (kuà クア) ・・・股関節、鼠蹊部、太腿の付け根
なので、「股関節を抜く」となります。
当然、股関節を抜くと言っても、実際に抜ける訳ではありません。
股関節は大腿骨頭が寛骨臼蓋という穴に一部収まった状態なので、
実際にその穴から抜けてしまったら、それは脱臼です。怪我です。
なので「股関節を抜く」というのは実際は、
股関節周りの筋肉をよく伸ばす(=可動域を確保する)ことを指します。
実際の拔胯の練習は、ただ可動域を広げるだけではなく、
当然その状態を保持するための筋力を強くすることも同時に指す場合があります。
以上が”拔胯”の意味になります。
”拔胯”をする理由
そしてどうして”股関節を抜く”必要があるのかと言うと、
”圆裆”を作るためです。
そして”圆裆”とは股下にアーチを作ることでした。
股下をアーチ状にするためには、足を大きく開いて立った時に、骨盤を若干後傾させ、股関節を少し外旋させる必要があります。
それを実現させるのが”拔胯”です。
”拔胯”の方法
それでは股関節を抜くためにどのような練習を行っていくかというと、
以下の原文にもあるように、”拔胯”の主な練習方法は横胯と縦胯になります。
「练太极拳时我们常常能听到“圆裆开胯”这个名词,很多老师也会强调“开胯”在武术中的重要性,那么今天我们就来了解一下。
胯,可以分为“横胯与纵胯”。」
(直訳)
「太極拳を練習していると“圆裆开胯(えんとうかいこ)”という言葉をよく聞きますが、武術においても”胯(クア)を開く”ことの重要性を多くの先生が強調しますので、今日はそれについて学んでみましょう。
胯(クア)は”横胯”と”縦胯”に分けられる。」
横胯は、座った状態で横に足を開いていくお馴染みの横開脚ストレッチや、
お相撲の腰割りのような形で行う、武術では馬歩と呼ばれる形で練習します。
股関節をしっかり横方向に開いて、上半身が安定し、かつ力が抜ける形を作っていきます。
縦胯も一般的にストレッチでも行われる前後開脚と、弓歩と呼ばれる以下の写真のような形で練習します。
”横胯”にしろ”縦胯”にしろ、ポイントは、
腰骨から膝の距離を長くするようなイメージで、
股関節から大腿骨(太ももの骨)を抜く感じで行うこと。
【練習方法】
①前足の腰骨から膝の頭の2点を意識する。
②その2点の間を長くする(距離を遠くする)イメージで伸ばす
③後ろ足も同様に、腰骨から膝の頭の2点を意識する
④その2点の間を長くする(距離を遠くする)イメージで伸ばす
⑤両足同時に伸ばす縮めるを行う
前足10回 ➡︎ 後ろ足10回 ➡︎ 両足同時10回
✖️ 3セット(目安)
これ位やって頂くと、歩法がやりやすくなっているのが実感できると思います。
オススメなのは、この動作をやる前に一度普段通り歩法をやって頂いて、
この動作をやってから再度同じ歩法をやってみることです。
違いが実感できると思います。
慣れてきたら、歩法を行う時も腰骨と膝の頭の2点間の距離を長くするイメージで行って頂くと、歩法の安定感をご実感いただけると思います。
まとめ
歩法において胯(クア、股関節)を意識することはとても大事です。
それは動きやすくなる、安定感が増すだけではありません。
足を動かすことを、足の末端でやるのではなく、
足の付け根からやることによって、
膝への負担などが減り、怪我のリスクを下げることにもつながります。
長い長い太極拳人生を、
怪我なくずっ〜と楽しくやれることを祈ってます。
そのためにも”拔胯”の練習が、
皆様のお役に立てたら幸いです。
またやって頂いて、
「やりやすくなった」、
「安定感が増した」
などご感想ありましたら、送って頂けると凄く凄く嬉しいです😊
また何か違ったアドバイスもできるかもしれないので、ご質問などもお気軽に送ってください。
もっともっと詳しく知りたい方は、
教室にいらして頂くか、オンラインでも指導可能です。
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【追記】
【圆裆実践編】