練習日記(8月15・17日)

太極拳

朝夜の気温が前よりちょっと落ち着いて、涼しさを感じるようになりましたね。

 

一昨日は太極拳の山手クラス、今日は青葉台クラスで楽しく練習でした。

練習の一つで、陳式16式の一つの技を細かく練習しました。

まずは形(式)から入り、技の使い方(招)を学びます。

これを太極拳や武術で招式(技の形と使い方)を学ぶなんていう言い方をします。

中国から入った言葉をそのまま使っているので、いきなり招式なんて言い方をしても日本人には何のことやらという感じです。

太極拳を学ぶ時、こういった専門用語(?)がたくさん出てきます。

日本人にも分かりやすいように短い言葉で置き換えられれば良いのですが、日本人は漢字を理解できるのと、

漢字を見れば何となく意味が想像できるだけに、中国語をそのまま持ってきているのかもしれません。

 

ちなみに先ほどの招式の”招”と”式”の区別については梅墨生老師の説明が非常に分かりやすいので、ご興味ある方は以下動画を参考にしてみてください。

王宗岳の太極拳論についても超分かりやすく説明しているので太極拳をやっている方には超オススメの動画です。

一度は絶対見たほうがいいと思います。

 

 

話戻って、クラスで一つの招式を練習したという話ですが、

当教室の練習方針として、技の形と使い方を切り離しません。

招式という言葉自体が”使い方”と”形”という意味で、そもそも切り離せないので当たり前の事を言ってますが、

必ず套路(型)は”形”と”使い方”とを合わせていきます。

 

自分が習った、上海体育大学の谢业雷老师(陳式太極拳第十二代伝人)と詹庆然老師は、元を辿っていくと洪均生老師という先生にあたります。

陈发科—洪均生—李恩久—谢业雷—詹庆然

その洪先生は著書である陈式太极拳实用拳法》の中で

“怎样用就怎样练”(どのように使うかによって、どのような練習をする)

というのが太極拳の原則の一つだと仰ってます。

 

また他に、

”陈式太极拳没有一个动作是空的”(陳式太極拳で空っぽな動作は一つもない:実際に使えない動作は一つもないという意味)

というふうに仰っています。

 

なので、自分が詹庆然老師に活歩推手を習っていた時、先生は私を吹っ飛ばす度に、

得意げに「これは何々って技だろって」一つ一つ見せてくれました。

こちらも投げられまいと必死に抵抗するのですが、あっさりぶん投げられてしまいます。

そのようにあらゆる変化の中で、技の一つ一つがきちんと使えるもので、立ち方、力の出し方は套路中に要求される通りでないといけないと教わりました。

 

このように洪均生老師の流れをくむ先生方は、

“怎样用就怎样练(どのように使うかによって、どのような練習をする)”

という原則を大事にしており、練習内容も形と技の間に矛盾のないようにする体系ができています。

 

一見手を回しているだけの簡単そうな基本の動作も、

ただ立つだけの站桩功の練習も、非常に細かな段階と要求があります。

 

当教室でも、できる限りその要求に従い、練習、指導に努めてます。

 

しかし、洪均生老師の一番の教えはその実用性ではありません。

当然重要な原則ではあるのですが、もっと大事にしている事があります。

そして、何代にも渡ってその教えを最も大事に受け継がれています。

それは、

“武芸好不如性格好”(武芸が秀でていることは、性格が良いことには及ばない)

という言葉に代表される、

“武艺高低以人品为准”(武芸の高い低いというのは、人格や人間性によって決まる

という考え方です。

 

自分は上海に行く度にそれを実感します。

いつも快く練習に受け入れて頂き、懇切丁寧に指導して頂き、ご馳走して頂き、

日本に帰ってからの練習内容まで考えて頂き、上海にいる間色んなお世話をして頂き、

「太極拳に国境なんてない、中国人だから上手いというものではなく、練習を積み重ねた人が上手いんだ。

功夫は誰のものでもなく、自分のものだ、国籍なんて関係ない」と毎回激励してくれます。

当然多くの生徒さんに慕われ、上手な生徒さんがたくさんいます。

またどの先生方も非常に謙虚で、上から見るような姿勢を一切見せません。

 

技術の高さはもちろんですが、そんな熱い人情味や、こんな人になりたいと思わせるような人格の高さに魅せられて、毎年のように上海に通っています。

 

太極拳をしていない時でも、あぁこんな風に自分もなりたいと思わせるその人間性は、洪均生老師の言う本当の意味での太極拳のレベルの高さなんだと思います。

そういった事を最も大事にして受け継がれています。

 

だから自身も、なりたい自分の理想像のような先生方に少しでも近づけるよう太極拳を続けています。

 

しかし、そういった意味では自分の教室では自分よりレベルの高い生徒さんばかりなので、

教わる事はあっても、教える事は何もないような気もします。

 

ただ、太極拳の理論と実践には多くの学びや実益があり、

気血を整え健康にする効果もあり、効率的な身体の使い方を学ぶことができ、

更に太極拳の考え方には、全ての人に希望を与える知恵が含まれています。

 

だから今まで自分の経験したものが皆様の何かの役に立つと信じて、レッスンをやらせて頂いております。

 

なにより会う度に上手くなっていたり、一回のレッスンの中でも上達していく生徒さん達の姿を見れるのが楽しくってやってるというのが一番かもしれません。

 

今週もありがとうございました。

 

 

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