”圆裆開胯”の意味

太極拳の最も基本的な要求の一つ”圆裆開胯”。

 

その”圆裆開胯”についての解説です。

 

まず”圆裆開胯”という言葉は中国語です(笑)

 

読み方は、

 

「 yúan dāng kāi kuà  」

 

です。

 

日本語で無理矢理発音するとしたら、

「えんとうかいか(こ)」とでも読むのでしょうか?

 

この”圆裆開胯”、一字ずつ意味を見ていけば意味は非常に簡単です。

 

圆・・・丸い

裆・・・股下

開・・・開く

胯・・・股関節、ソケイ部、あしの付け根

 

なので、

”股関節を開いて、股下を丸くする”

という意味になります。

 

”圆裆”と”開胯”がそれぞれ1ワードで使われることも多くあります。

 

膝が内側に入ってしまったり、立ち方が間違っていると、

 

「圆裆(股下を丸く)!」

 

とか

 

「開胯(股関節をもっと開け)!」

 

と言われます。

 

どうして”圆裆開胯”である必要があるのか?

”圆裆開胯”の意味を説明するだけであれば以上の説明で終わりですが、

 

大事なのは、何故太極拳をする上で股関節を開いて、股下を丸くする必要があるのか?

ということです。

 

結論から言うと、それが最も

 

”あらゆる状況に適応しやすい”

 

からです。

 

以前のブログ「太極のすすめ」でも書きましたが、

太極拳の目的は”太極”状態になることです。

太極状態というのは、バラバラなものが一つに合わさってどちらの区別もつかない状態です。

 

よく煮込まれたカレーのようなもので、

そこにはもうニンジンもタマネギも分かりません。

もともとバラバラな具材がバランスよく融合して、カレーという”一つ”の料理ができます。

まさに太極カレーです。

 

このように太極拳は融合の概念なので、

 

例えば、

太極拳を整えられたフローリングの上で練習しても、

砂利のような滑る状況でやっても、

更に氷の上のようなツルツルの状況でやっても、

 

その状況に自分自身が融合、適応できなければなりません。

 

そんな如何なる状態にも適応できる立ち方というのが、

 

”圆裆開胯”

 

です。

 

”圆裆開胯”の仕組み

では”圆裆開胯”で立つとどうしていかなる状況にも対応しやすいのでしょうか?

 

圆裆开胯とは先にも説明した通り股関節を開いて、股下を丸くつくることです。

 

この丸くというところが肝です。

 

丸い形というのはどこに力を受けても、その力を四方に分散することができます。

他のどんな形よりも壊れにくい形状が円形、球体、丸い形です。

 

橋の構造を見てもらえれば分かりやすいと思います。
橋は2点の場所をアーチ状に繋ぎます。

 

もし直線で橋を掛けたら、負荷が一点に集中してしまいます。

 

それをアーチ状に作ることによって、負荷を分散することができ強度が上がります。

 

人が立つ時もこれと同じ原理で股下を丸くし、アーチ状を作ることによって強度をあげます。

 

もし膝が内側に入ってしまい、このアーチ状が崩れて直線的になってしまうとまた強度が落ちます。

 

だから膝は内側に入れてしまってはダメなんです。

 

 

上の挿絵だと外側で支えているものが必要ですが、人体の優秀なところはこのアーチを自分で作っておけるところです。

内側、外側から筋肉で引っ張っておくことによって端を固定しなくても崩れることはありません。

 

なのでこのアーチ状を自身の力で保つことができるため、地面の状態に依存することなく立つことができます。

 

 

そしてこのアーチを作るために必要なのが”开胯”=”股関節を開く”ことです。

 

骨盤を少し後傾させて腰を座らせ、股関節を開きます。

 

ただ開くだけではなく、アーチが崩れないよう内側から絞りながら開きます。

床がツルツル滑る状態で実験すると非常に分かりやすいのですが、

グリップが効く状態でやると、足を左右に開いてもグリップ力で耐えられます。

しかし、床がよく滑る状態でやると、自分の力で内側から引っ張っていないと足がズルズルと開いていってしまいます。

 

なので地面の状態(グリップ力)に依存しないようにするためには、自分の力で内側から絞ってアーチ状を保つ必要があります。

 

このように”開胯”(股関節を開くこと)をすることによって”圆裆”(股下を丸くする)を実現します。

 

以上が”圆裆開胯”についての解説です。

 

かの陳式太極拳の伝説的達人である陳発科先生は”圆裆開胯”について以下のように仰られていたそうです。

 

「何淑淦先生回忆说: “我师爷(陳発科先生)要求特别严格,练拳时很讲究,要求胯要松,裆要圆。
胯要坐下去,使大腿的大筋松开,不要绷紧。胯不仅要放开,还要合得住。尾骨要合住,不要撅腚,也不要往里收,稍微外翻一些。
两个胯要微微松开合住。两个胯尖微微向里一裹,这样裆就开了。小肚子微微内收,这样腰裆劲就圆了,劲就饱满了”。」

 

(直訳)
「何淑淦先生が記憶を語った:”私の先生である陳発科先生は要求が非常に厳しかった、
太極拳の練習時股関節を緩めること(松胯)、股下を丸くすること(圆裆)をとても重んじた。
股関節を座らせ、太腿の大きな筋を緩ませ、張り過ぎない。股関節は開くだけでなく合わせる必要がある。
尾骨を合わせる、お尻を突き出さない。股関節は内側に入れてはいけない、少し外に外旋させる。
二つの股関節は僅かに緩め合わせる。股関節を少しだけ巻き込むようにする、そうすれば股下は丸くなる。
下っ腹を少し内側に持ち上げ、こうすれば腰、股下の力は丸くなり、力は満たされる”。」

 

太極拳を練習している方で”圆裆開胯”という概念を初めて知った方は、試しにやってみると良いと思います。

立ちやすさや安定感を実感できると思います。

 

参考:拱形结构与太极拳的圆裆

http://www.sohu.com/a/234512758_300612

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