台湾推手全国大会2019 in 高雄

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台湾の推手(すいしゅ)全国大会に出場

 

2019年9月28日に台湾高雄で行われました、

第八屆總統盃全國太極拳錦標賽に参加して参りました。

 

参加した種目は競技推手(すいしゅ)の軽量級(65㎏以下)で、

地元高雄を中心に台湾各地からも強豪が集まる大会です。

 

この大会は推手競技だけでなく、表演競技も行われていました。

むしろ参加者の人数的には表演競技の方が圧倒的に多かったです。

台湾でもやはりメインは表演競技のようです。

 

全国規模の非常に大きな大会でオープニングから色んな催しがありお祭りのようでした。

ただ開会式が始まってしばらくしてもお偉いさんが遅刻してて、

「もうしばらく待ちましょう〜」

というアナウンスが入った時のゆる〜い感じは、日本との違いを感じました。

 

そして、推手の試合はと言うと、

自分の試合は、、

一回戦ストレート負けという結果でした。

 

相手は地元高雄の国体代表選手で何長明という選手。

強いのは事前に分かっておりましたが、

試合ではもう本当にあっさりという感じで、

なす術もなく終わってしまいました。

彼はその後も順当に勝ち上がり決勝へ、

決勝の相手は前回の国体優勝者。しかも2回連続国体優勝という台湾最強の相手。

試合は2ラウンド全くの互角でエキストララウンドへ、

最後は僅か2ポイントの差で負けてしまい準優勝でした。

しかし紛れもなく台湾トップ選手の一人という実力でした。

 

自分の試合は、台湾トップとレベルの差を見せつけられてしまった

というような試合内容でしたが、

 

今回のこの高雄。。。

 

本当に来てよかった!!!

 

あまりの収穫の多さに、まさに宝くじに当たったような感じでした!

 

素晴らしい対戦相手と、その先生である黄文佑(こうぶんゆう)老師との出会い

まず対戦相手の何長明選手に感動!

 

もう少しせった試合内容だったら負けた悔しさというのも起こるのでしょうが、

あまりにあっさり負けてしまい、悔しさも全くなく、むしろ相手の技術に感動してしまいました。

 

試合後に

「凄いですね〜!! めちゃくちゃ強いですね〜!!」

と声をかけると、

「全国には強い選手が沢山います」

とあくまでも謙虚。

 

そして、

「自分の足りないところはどこですか?」

と聞くと、

 

「そういう事は言葉では伝わらない。」

 

と言われ、

 

しばらく色々話した後、

 

なんと!その場で実際に身体を使いながら教えてくれました!!

 

まだ試合があるにも関わらず、かなり時間をかけて教えて頂き、

 

しかも

「一人とやっただけでは分からないから、出来るだけ多くの人とやったほうがよい」

 

と彼の仲間を何人も集めてきてくれて、一人ずつ相手をしてくれました。

 

ここまでで、皆様に教えて頂いたことだけでも大きな宝物になったのですが、

 

それ以上に何長明選手の心意気に完全にやられてしまいました。

 

感動しました!

 

”弱い人ほど優しくなれない、強い人ほど優しくなれる”

 

とは本当だなぁ〜と思いました。

 

そしてドラマはまだまだ続きます。

 

先ほどの何選手に教わった後に、何選手の先生がやってきて、

 

「推してきなさい」

 

と突然声をかけてくれました。

 

言われるままに、肩に手を当て推してみると、

 

全く動かない・・・。

 

先生が、「再用力!(もっと力をいれろ)」

 

と仰るので、全力で推してみるも、

 

やっぱり全く動かない・・・。

 

逆に簡単に押し返されてしまいました。

 

先生はほとんど何もしてないにもかかわらず。

 

この推し返された瞬間、

 

この感覚はいつも触れている田中先生の感覚に非常によく似ていると、

 

瞬間的に感じました。

 

あの推しても全く手ごたえが無く、何を推しているのかよく分からない感覚、

 

やられた瞬間心地よく、身体の中がすぅ〜とする感覚。

 

極めて自然で、わざとらしさがなく、極上の料理を食べているような人を感動させる”あの味”。

 

この先生も非常に似た”あの味”を出す紛れもない達人だと感じました。

 

人生で2度目の体験でした。

 

 

自分自身が武術人生をかけて体得したい”あの味”。

 

それを持つ先生がここにもいました!

 

この時はその感動を一生懸命伝え、

いつか機会があれば、学びたいという旨を伝えると、

 

「いつでも来てください」

と快諾して頂けました。

 

そして名刺を頂き、

この先生が実は、高雄の推手の名門「飛龍教場」の代表であると知りました。

 

黄文佑(こうぶんゆう)老師との感動的な出会いでした。

 

大会1日目を終えて、

試合で負けたことは全く忘れてしまい、

ただただ何選手と彼の仲間と黄老師に感動していました。

 

”いつかの機会”はすぐにやってきた

大会二日目は日本の仲間達の応援をし、無事に大会は終わり、

日本人選手は多くの好成績を収めました。

 

競技推手連盟代表板野代表も小指の脱臼がありながらも見事に3位入賞。

板野代表の試合は、日本の競技推手界の更なる前進を確信できる素晴らしい内容でした。

 

競技が終了して大会が終わるまでの間、会場近くのマンゴーパフェで有名なお店を訪ねました。

今回の旅の大きな目的の一つでした(笑)

 

手の平ほどの大きさの器に山盛りのマンゴーと、その下にはミルクかき氷♪

 

アジアに旅行へ行くと必ず探して食べるマンゴー。

 

以前マレーシアに行った時は好き過ぎて、沢山買って食べきれない分は日本に持って帰ってきて、

空港の税関を出る前に食べて、税関を出てから犬に捕まった経験があるほど(笑)

 

それほど好きなマンゴーが本当に食べきれないほど盛ってあり、

最高に幸せな気持ちでした♪♪

 

お腹も胸もいっぱいで会場に戻ると、既に大会の撤収作業に入っておりました(汗)

 

最後に黄老師に挨拶ができるかなと会場を探していたら、

黄老師と飛龍教場の教練と生徒さん達がもくもくと撤収作業をしており、

お邪魔かなと思いながらも声をかけると、

 

黄老師から、

「いつ日本に帰るんだ?」

と聞かれ、そこから

 

西尾:「3日後です。」

黄老師:「高雄での予定はどうなっているんだ?」

西尾:「特に決めてません」

黄老師:「じゃあ練習に来たらいい。君とやった相手も来るから沢山交流したらいい。」

西尾:「ありがとうございます!是非伺わせて頂きます!」

黄老師:「ところでどこに泊まってるんだ?」

西尾:「〜〜ホテルです」

黄老師:「じゃあ明日の朝7時に迎えに行くから」

西尾:「・・・・」

黄老師:「朝練して、夜の練習まで時間があるから〜〜に連れてってあげるよ」

西尾:「えっそんなの悪いです悪いです(汗)・・・」

 

という感じで、猛烈な勢いで話が進んで行って、

なんと練習だけでなく、恐縮にも観光にまで連れて行ってくれるという運びになり、

 

次の日は朝練習を見て頂き、観光に連れて行って頂き、

また夜の練習をしてもらうという至れり尽くせりで超お世話になりました。

 

夜練習の時は、高雄の偉い先生と生徒さん達も呼んだから、

ちょっとみんなの前で話をして、何かやって下さい。

ということになり、お恥ずかしながら陳式をやらせて頂きました。

 

 

練習は推手の基礎がメインでした。

朝練習も夜練習も大大大収穫でした。

 

そして最後に皆様と記念写真♪

 

本当に暖かい方ばかりで、皆様とこのご縁に超感謝です。

 

武術をやる理由は、素晴らしい人達と繋がるためなんだなとつくづく思いました。

 

 

練習、観光、練習とウルトラ充実した1日になりました。

 

お世話になりまくった3日間

次の日も、朝練、観光、個別練習、夜練習と丸1日お世話になりました。

 

夜練習では、試合で一緒になった何長明選手や、全国大会優勝経験者など強者が集まり、

 

先生から、全員とやってそれぞれが気付いた事を教えてあげなさいという事で、

皆様から多くのご指摘を頂き、大変勉強になりました。

 

 

中には試合には出ないけど、とんでもなく強くて頭では理解できないような実力の方もいて、

練習方法などを伺いとても楽しくまたとても勉強になりました。

 

夜の練習後、生徒さん達と話しながら電車で帰ったのですが、

 

皆さんから、「あなたは黄先生に会えてとてもラッキーね」と言われました。

あれほど優しくて思いやりがあって、面倒見の良い先生は他ではいないと言われました。

 

今回の高雄は、試合に出るということが大きな目的でしたが、

試合に出るという事を通して、素晴らしい人のご縁に恵まれました。

試合の勝ち負けも大事ですが、それ以上の大きな大きな宝物を頂けました。

 

次の日の最終日は、朝練だけつけて頂き黄老師とはお別れとなりました。

(実は他にもあれやこれやと超お世話になったのですが、ここでは割愛します)

 

とにかく、試合後の3日間は黄老師と黄老師のご家族、生徒さん達にお世話になりまくり、

皆様の温かさ、優しさ、親切さに終始感動しっぱなしでした。

 

太極拳のエッセンス

この3日間で学んだこと、感動したことをあげればきりがないのですが、

太極拳に関係する印象的だった事をいくつか書きたいと思います。

 

●太極拳を学ぶには門があり、門が開かなければ中には入れない

大会会場で初めて黄老師と交流させて頂いた際にすぐにその功夫(カンフー:長年積み重ねてきたもの)の凄さが分かり、「どうやってやるんですか?!」と勢いあまって聞いてしまいましたが、その時は技術的なことに関しては何も答えてくれませんでした。

後日個別に練習をつけてくださった時に黄老師から、

「あの時あなたがきちんと教えてくださいと言ってなければ教えてない」

と言われました。

そして、そういった礼儀だけでなく、先生は歩き方や話し方など色んなところを見て判断していると仰られていました。

 

自分が礼儀正しく、歩き方や話し方が正しいというつもりは全くありませんが、

武術を学ぶのに身体の条件以上に大事なことがあるのは間違いありません。

 

今回は運が良かったです☆☆

 

●目的意識がはっきりしていること

車の中で黄老師から「太極拳って何ですか?」と聞かれました。

これについては常に考えてきたことなので、自分なりに回答しました。

 

「太極拳とは太極思想に基づいた拳種の一つ」

 

これについてはそれほど相違はなかったのですが、

黄老師の凄いところはその太極があらゆるところに息づいているところ。

 

太極というのは陰と陽の二つが一つで初めて太極です。

仏教の”自他不二”と同じで自分と他人は二つ別々のものではなく一つです。

 

だから先生は、目指しているのは全てとの共存、共栄という考え方から外れません。

 

自分のような初めて会った日本人に超親切にしてくれるのも、

孤児に太極拳を教える活動を続けているのも、

きっとそこから来ているのだと思います。

 

そして生徒さん達もみんながみんな親切で一生懸命教えてくださるのも、

そういった考え方がしっかり共有できているからだと思います。

 

●太極拳に正解はなく、全てが正解

黄老師曰く、

 

「全ての太極拳が正解であって、ある太極拳は間違いで、ある太極拳が正しいというものではない。」

 

太極は、許容や共存、共栄の概念です。

排他排除がなければ、許容も分からないという相対の概念でもありますが、

最終的には一つという概念です。

 

だから当然あらゆる太極拳が正解になります。

 

これは非常に発展性のある考え方だと思いました。

 

日本に戻ってきてからも大事な情報を共有してくださるのですが、

共有して頂いた言葉の一部で締めたいと思います。

 

「太極拳の精髄は外在の形式ではない、内在の修練である。

内在の修練のためには、外在の鍛錬に頼る必要がある。

その内在の修練は体得する以外の方法はない。

 

太極拳とは一枚の鏡のようなもので、

常に自分の身体と心の弱さを映し出す、

だから本当の自分と向き合うために、

いつもきれいに磨いておかなければならない。」

 

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