太極拳の”歩法の秘密は足ではなく股関節” ④圆裆【実践編】

太極拳

”圆裆(えんとう)”の実践編です。

 

”圆裆(えんとう)”という言葉自体が初耳の方は先にこちらをご覧ください↓

 

まず”圆裆”を行う際に気をつけたいのが以下の2点

 

  • 膝の位置
  • 骨盤の角度

 

膝の位置

足首と膝頭が垂直になる位置にします。

 

膝関節というのは肘関節と同じように一軸性の関節なので(曲げ伸ばししかできないので)、

横からの力に耐えられるような構造はしていません。

 

横からの力が長くかかる状態が続くとケガにつながります。

 

だから膝は内側にも外側に入らないようにします。

 

骨盤の角度

これが今回の主なテーマです。

 

圆裆を作る際、骨盤の角度は非常に重要になってきます。

 

この骨盤の角度は恐らく一人では完全には把握できません。

 

ですので、仲間と一緒にやって頂くことをオススメします。

 

手順は以下の通りです。

 

①前後に軽く足を開いて、相手に両手で腰骨を推してもらいます。

 

そうすると恐らく以下の図のように、後ろ足で床を蹴り飛ばすように相手の力に抵抗すると思います。

その際の骨盤の角度は少し前傾した状態になっていると思います。

 

当然後ろ足で床を蹴っても大きな力が出ますが、

突然推している人がぱっと手を離したら、前に突っ込んでしまいます。

それでは相手に寄りかかっているだけなので、自由には動けません。

 

 

そこでどうするのかというと、

 

②骨盤を起こす

前傾している骨盤を少し後傾させていきます。

(以下図の青い線のように)

その際相手にずっと同じ位の力で推し続けてもらいます。

 

 

そうするとどうなるかというと、

 

後ろ足で蹴り飛ばさなくても、ほとんど力を入れることなく、構造で耐えられる位置がわかります。

 

相手の力が地面の方向に流れていくような感じです。

 

 

このように簡単な実験で、骨盤の角度を把握することができます。

 

骨盤の角度を少し変えると、

相手の力をとてもリラックスした状態で受けることができるので、

動きの自由度が増します。

特に上半身の力みの違いは明確だと思います。

 

後ろ足で頑張って蹴り返すのではなく、

『構造』によって力を受けることによって、

大きな力に耐えることができます。

 

この骨盤の角度による作用の変化は、

セミナーでも毎回非常に好評を頂いており、

とても効果が分かりやすいので、

是非一度お試しください🎵

 

Q & A

セミナーなどで紹介すると必ずと言っていいほど頂く以下のご質問があるので、

それについても展開致します。

 

「今まで股関節は折り込めと教わったのですが、これは間違いですか?」

 

というご質問。

 

私のお答えとしては、

 

それは、間違いではありません。

 

そもそも太極拳に正解などないので、

どんな方法も存在します。

 

それは100m走とマラソンのようなもので、

同じ速く走るとはいっても、

それが10秒足らずの短い時間を全速力で走るのか、

それとも2時間の長い時間を走るのでは、

違った走法になると思います。

 

どちらの走法が正しくて、またどちらの走法が間違っているというようなものではありません。

 

更に、同じマラソンでもケニア人のようなアキレス腱が長くて強い人種と、

日本人では異なった走法になると思います。

要するに人によって正解も異なるということです。

 

そして同じ日本人でも全く同じ体格の人は存在しないので、

人によって異なります。

 

太極拳も同様です。

 

目的が違えば、方法が違うし、

人が違えば、選ぶ方法も変わってきます。

 

先の話に戻って、

股関節を折り込む方法もそれを選択するのであれば、

必ず何かの目的を達成しやすい最適な方法なはずです。

 

なので、自分が展開している情報も正解という訳ではなく、

ある状況の時、それが有効である可能性がある。

というだけです。

 

太極拳の素晴らしいところは、

始めからその多様性を許容しているところだと思っています。

 

何か一つだけが正しくて、それ以外が間違いなのであれば、

希望がありません。

みんな違って、みんな正解だから希望がある訳です。

 

以上が自分の見解です。

 

 

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